社会保険労務士試験に必要な教材は、
基本書・過去問題集・問題集・法改正白書対策テキスト・模擬試験
以上の5種類です。
各資格学校やスクールの教材や参考書が店頭に並んでいますが、どれも凌ぎを削りって作られたテキスト等なので、完成度は高く、比較してもほとんど差は無い印象です。紙質、文字の大きさ、フォント、行間や語調の違いがあるくらいです。要は好みの問題です。
ここでは、社労士試験合格のために必要なテキストなどをまとめてみました。現役社労士&講座講師である私の一発合格の経験や社労士講座の受講生さんの意見を元としています。
独学の方にスポットを当てていますが、通学・通信講座の方も参考になる部分があるかもしれません。どれがいいか迷った時のコンパス代わりになれば幸いです。
なお、ランキング形式では掲載しておりませんので、あしからず。人によって合う合わないがありますからね!!
おすすめの社労士講座については、こちらの記事でお伝えしています。
一発合格者が語る社労士試験のおすすめの通学・通信講座
基本書
社労士試験の教科書は、基本書や基本テキストと呼ばれています。毎年10・11月に最新版が発売されます。先ずはどれか一冊を選びましょう。
このテキストで基礎固めをしっかり行います。本試験の日まで使い続ける大切な一冊です。
また、必ずしもシリーズ物で揃える必要はありません。例えば、TACの「みんなが欲しかった!社労士の教科書」を基本書として選んだからといって、過去問までTACのそれを揃えなければいけない事は無いです。
シリーズ物の利点は教材同士のある項目について、お互いに探しやすいよう該当ページがどこかが書かれていること、ある事項について表現が統一されていること等、あれば便利なところです。
ごうかく社労士 基本テキスト
昔から評判の一冊です。
しかし、最近は出版元で紆余曲折があり、少々オススメし辛くなりました。
各条文の説明や欄外での補足説明は、実際の講義をそのまま文章にしたかのような内容で、各条文が理解し易くなっています。私は今のところ、こちらが一番好きです。
当サイトでは2016年までは一番人気があるテキストでしたが、2018年以降は4番手となっています。
講義感覚で勉強したい方ならこのテキストをおすすめします。
対象者:初学者~中級者
U-CANの社労士 速習レッスン
通信教育でおなじみのユーキャンが出している基本書です。通信教育よりも、こちらのテキストを使う方が良かったという声があったりするほどに優秀なテキストです。
本書は3つに分離することが出来るので、必要な部分を持ち運びすることでどこでも学習し易くなりました。
所狭しと解説が詰め込まれているので、やや圧迫感を覚える人もいるかもしれません。その分、情報量は充実しています。当サイト人気No2の基本書です。
試験範囲を隅々まで勉強したい人にぴったりのテキストです。
対象者:初学者~上級者
うかる!社労士 テキスト&問題集
「うかる!社労士 テキスト&問題集」は日本経済新聞出版社が出しているテキストです。
赤を基調としたデザインから、カラー版へと変わりました。最近の基本書の流行です。
絵柄は2015年分からマンガ調になり、親しみ易くなりました。情報量はしっかりあります。
2018年頃から基本書部分と問題集部分を1冊にまとめた形式になりました。分厚いため、持ち運びには不便です。
実際にこのテキストを使って独学された方に聞いてみたところ、「読み易くて挫折せずに読了できた」とおっしゃっていました。内容も良かったそうです。
初学者で読み易いテキストをお探しならこの1冊から始めましょう。
対象者:初学者~中級者
みんなが欲しかった!社労士の教科書
TAC発行の基本テキストです。遂にフルカラーになりました(私としては複雑で、フルカラーは不要と考えています)。2018年版においては当サイトで1番人気があります。
特徴は次の通り。
- スタートアップ講座で初めて勉強する社労士試験の科目の全体像を、イラスト入りで楽しく気軽に学べる
- イラスト満載のオリエンテーションつきで各法律をイメージしながら勉強準備ができる
本文はフルカラー。重要な項目はページの両サイドに記述 - 労働保険科目と社会保険科目を分けて持ち運べるセパレート方式を採用
2016年版から、大幅バージョンアップされました。シンプルな構成から一転、フルカラー&イラスト満載&2冊へ分離可能となっています。初心者の方にも社労士試験の概要がつかめるオリエンテーションがあるので、初学者の方にも安心の内容。2017年版は更に一新しています。
2016・2017年はこのテキストが一番人気がありました。口コミや感想も上々でした。
TACの講座品質で独学に挑みたい方に読んでもらいたい教科書です。ぶっちゃけると、TACの総合本科・速修本科講座とよく似た構成なんです。
TACが用意している「独学道場」にも、こちらのテキストが使われています。
講義音声も欲しい!という方は、値段は張りますがオプションのCDを購入してみてはいかがでしょうか。
対象者:初学者~中級者
過去問
彼を知り己を知れば百戦殆うからず。過去問題集の演習には本試験の問題文に慣れる、出題の論点を確認する、頻出事項を知るといった役割があります。合格のために、必ず解いてください。
はっきり言うと、過去問を解くか解かないかで合否が分かれます。
択一式の新しい出題方式である組み合わせ問題や個数問題に対応するために、必須の教材です。出来れば、テキストの進行と共に解いてください。
解く力を鍛えるため、最初は一問一答形式の過去問を使わなければいけません。年度別や5択の過去問はある程度、解法を知ってから取り組まないと効果は薄いのです。
毎年、取り掛かり時期が遅くなったがために良い結果を残せない受験生が大勢いらっしゃいます。そうならないように!!
IDE社労士塾条文順過去問題
私が一発合格時に使っていた過去問題集です。合格された受講生さんの多くもこれを使っていました。
過去出題されたものを条文ごとに一纏めして、一問一答形式で過去7年間の過去問題を収録しているので、どこが問われやすいかが一目で分かる作りです。
例えば、労基法24条については平成25・28・29年(もう少し前だと20・21年も)と頻繁に出題されているので、そこだけでも問題数は多く掲載されます。頻出項目であると簡単に認識出来るようになります。
また、条文や施行規則だけでなく、通達から作問されていることが分かり、テキストを読む事だけでは養われない問いに対応できる姿勢を身に付けられます。
何より見所は解説です。丁寧かつ細やかなところまで説明されており、補足説明が豊富です。論点以外の周辺知識をスッと吸収できるようになっています。論点をずらしながら出題された項目については、重層的な知識が付きます。
科目別の複数冊構成なので携帯にも便利です。当サイト人気No1の過去問題集です。
よくわかる社労士 合格するための過去10年本試験問題集(旧:ナンバーワン社労士過去10年本試験問題集)
こちらは10年間分の過去問題集です。一問一答形式です。以前のものに比べ、しっかりと問題解説がされており、扱い易くなりました。利用者からの評判も以前より良くなっています。
IDEに比べ、解説があっさりしているので、こちらの方が初学者の人は取っ付き易いかもしれません。四分冊構成です。分厚いので、カバンの中に入れておくのは難しいところが欠点です。
「みんなが欲しかった! 社労士の教科書」と一緒に使うと効果的です。
問題集
テキストでインプットした知識を正しく理解できているかどうかが確認出来ます。
ナンバーワン社労士合格のツボ 択一式と選択式
合格者の多くが「使って良かった」と口を揃える一冊です。私も基本テキストと一緒に追い込み時期まで使っていました。特に択一式が一押しです。マストバイです。合格したいなら必ず買いましょう。
本試験の傾向を押さえた問題集です。問題や解説の充実はもちろん、2色刷りになってさらにメリハリがつき、見やすくなりました。
一問一答形式なので一問一問を手軽に解く事が出来ます。過去問が解きづらい!という方は、過去問への橋渡し的役割を本書が担ってくれます。過去問を解く前に先ずはこっちを先に使うと効率が良いです。
持ち運びしやすいコンパクトサイズなので、電車やバスの中などいつでもどこでも学習が出来ます。
選択式は、条文そのままの形で出題された時に効果を発揮します。基本書や択一式の設問は条文を噛み砕いて掲載されており、条文そのままの姿を目にする機会はあまりありません。
ですが、選択式試験では条文それ自体を問うことがあります。対策をしておかないと面食らいますので、選択式の問題集がそこをカバーしてくれるのです。
できれば、5択の問題集が必要だが・・・
基本テキスト、過去問題集、合格のツボを使えば合格水準まで知識を詰め込めますが、肝心の本試験形式へのアウトプットが弱いという欠点があります。択一式は基本的に1問につき、5つの選択肢があり、その中から答えを導き出すものです。
3分間で5択の中から正解を導き出さなければいけないのですが、その力は実際に解かないと身につきません。特に、組み合わせ問題と個数問題は制限時間内に解く訓練をしていなければ、本試験で躓きます。
市販のものは、数が余り多くありません。強いて挙げれば、「U-CANの社労士 過去予想問題集」です。
5択の問題集です。過去問がメインで、併せて予想問題が組み込まれて構成されています。択一式のアウトプット力を養うのに向いています。
これとは別に、必ず模擬試験をやってみましょう。とにかく解きまくって、試験の時間配分を身体に叩き込んでください。
模擬試験はこのページの後半で扱っています。
おすすめ法改正・白書テキスト
社労士試験は法改正との戦いでもあります。最新の法令は頻出なのでしっかり対策しましょう。白書も以下の書籍である程度対応できます。
試験範囲に含まれる法改正は非常に広範(年金一元化、派遣法改正は大変でした)で、独学では辛いです。そういった場合は、資格学校が用意しているオプション講座(単科講座)を受講するといいでしょう。実際に独学しつつ、ネットでオプション講座を受ける人は多くいらっしゃいます。
試験までに受けておきたい単科講座や、白書対策・勉強法については下記の記事で紹介しています。
一般常識対策の講座や勉強法について!!
TACの無敵の社労士 (3) 完全無欠の直前対策
無敵の社労士 (3) 完全無欠の直前対策
こちらで法改正・白書対策が一緒に出来ます。
例年5月頃に発刊されています。
TACの書籍は頻繁に名称が変わるので、紹介する側も混乱しがちです。TACの直前対策シリーズはこちらで確認すると便利です。
模擬試験
模擬試験は本試験への姿勢を矯める重要な教材です。合格者はほとんどが受けています。
全国模擬試験
本試験、特に択一式は時間との戦いです。時間配分は模擬試験でチェックしましょう。
社会保険労務士|勝利の全国模試シリーズ
2019年3月8日から資料配布・申込受付開始されたようです。今年度もスタートが早めです。資料請求および申込はお早めに。
全国の多くの会場で実施されました。もちろん自宅での受験も出来ます。
受験特典として「択一式予想問題集」「選択式予想問題集」が貰えます。法改正を反映させた的中率の高い問題集ですので、試験の直前対策もばっちりです。この問題集目当てに申し込む人もいるほどです。
4月に入ると定員に達したため募集を締め切る会場が出てくるので、TACのサイトで資料配布が始まり次第、すぐに資料請求をして希望の場所や日時を予約しましょう。毎年の傾向として、金曜日受験は席に余裕があり、土・日曜日受験に人気が集まります。
自宅で模擬試験
自宅学習用の模擬試験です。こちらは4月から5月にかけて発売されます。最近は自宅専用の模試の発刊が減っています。可能な限り大手資格学校の模擬試験を受けて本試験に備えてください。
社労士V 社会保険労務士試験 模擬試験
模擬試験についてはこちらの記事もどうぞ!
社労士試験対策の模擬試験は絶対に受験すべき!!
まとめ
以上の5点セットを用意し、しっかりと使い込めば、合格水準まで達します。一度、使用教材を決めたら、それを使い続けてください。必要なものだけ揃えて、あまり他の教材に浮気しない。それが合格への近道の一つです。
コメント
このサイトの勉強法紹介および教材紹介はとても参考になりました。
その通りに一年間独学にて勉強し、まったく法律の素養や業務経験がないにも関わらず、このたびの平成30年試験にて合格基準点を超える点を獲得できました。ありがとうございました。これからも受験者の道しるべになっていてください。
先日の試験、お疲れ様でした。
そして合格基準点を超えられたとの事。少し早いですが、おめでとうございます!!
>このサイトの勉強法紹介および教材紹介はとても参考になりました。
この言葉を頂いて感激しています。本当に書いて良かったです。
初めての独学及び受験で良き結果を得られたのですね。
これは偏に花輪君さんの努力の賜物です。本当に凄い。
今後とも皆さんのお役に立てるブログになるよう精進して参ります。
こちらこそありがとうございました!!
9月1日にお礼を伝えておりましたが、11月9日に無事合格通知を頂きました。こちらの内容を活用して合格できたこと、改めて御礼申し上げます。
私の一年間の独学の記録をブログとしてまとめました。
私自身、全くの独学でかつ初回合格された合格体験記を見つけられなかったので、
独学選択の是非判断も含めて、今後の方の参考になればと思いました。
こちらのサイトはリンクフリーと記載がありましたので、勝手ながら引用させていただいております。
もし不都合であれば、ご指摘のほどよろしくお願いいたします。
また、内容にアドバイスがありましたら、是非ともよろしくお願いいたします。
今後ともよろしくお願いいたします。
なお、内容が不適切であれば、このコメントを公開していただかなくても構いません。お礼の気持ちをお伝えしたいのが本意です。
お返事が大変遅くなり申し訳ございません。
改めまして、合格おめでとうございます。
早速、貴ブログを拝見いたしました。
弊ブログに足りない独学の心構えや取り組みについて熱く記されており感服したところです。
リンクの件は、こちらこそお礼を述べたいほどです。ありがとうございます。
今後ともお付き合いの程、よろしくお願いいたします。
ご無沙汰しております。
この度、11月1日に東京都社労士会に勤務登録することとなりました。社労士法人に10月より勤務して、働き方改革を担当しております。
今後は、同業者としてお付き合いいただきたく、よろしくお願いいたします。
御礼まで。